口腔内写真を院内の記録用として使っていませんか? 実はこれは患者さんのやる気を引き出す重要なアイテムなんです!
誰に | 誰でも(特にセルフケアへの意欲がない方) |
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いつ | 初診時、メインテナンス時 |
アイテム | 口腔内写真 |
患者さんの気持ちが動くのは、「汚れがたまっている」「出血している」と自分で気づいたとき。口腔内写真をお見せしながら “気づき”がある問いかけをしていくと、患者さんの気持ちも行動も少しずつ変わっていきます。
気づきを引き出す対話例
写真を見てみて、どうですか?
うーん、そうですね。前歯は思ったより磨けているかも。あ、でも前歯の裏はけっこう残っていますね。この青いところは汚れが残っているということですよね?
そうですね。古い汚れがついていますね
そうなんだ……
どうして前歯の裏に残っているか、思い当たることはありますか?
なんでだろう? あ~、いつも表側をガーっと磨いてきれいになったなと思ったら終わりにしていたかもしれない。だから裏側のことをあんまり考えていなかったかもしれません
ポイント① 「どうですか?」「気づいた点はありますか?」と最初の印象を聞く
口腔内写真をお見せするときは、「ここに汚れがたまっていますね」などと歯科衛生士から指摘するのではなく、患者さんにお話をうかがいましょう。主導権を握ってもらうことで「自分の健康を自分で守っていくんだ」という意識が芽生えます。
ポイント② なぜその状態なのか患者さんに理由を考えてもらう
「ここは磨けている」「汚れがたまっている」「出血している」など、患者さんからお話をうかがったあとは、さらに「なぜそうなっていると思いますか?」と理由を考えてもらいます。教わるのではなく、自分で考えることで口腔内の問題が自分事化し、「治したい」「ケアしなきゃ」という気持ちも沸いてくるのです。
こうしたタイミングで一緒に歯ブラシを選んだり、歯の磨き方を練習すると、「家でもやってみよう」「自分で守らないと」と前向きにセルフケアに取り組んでもらえるようになります。
口腔内写真だけでなく、染め出しをした後の口腔内やプロービング検査の結果など、さまざまな場面で応用してみてください。継続的に口腔内写真を撮影している場合は、前回と比較して見てもらい、どう変わったのか聞いてみるのもオススメです!
口腔内写真を活用することで……
- 患者さんにとって口腔内の状態が自分事になる
- 自分で自分の歯を守るという意識が芽生え、セルフケアに取り組んでもらえるようになる