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  • 予防の考え方

健康な歯を守るために必要なこと

予防と聞いて、どんなことを思い浮かべますか? PMTCをすること、むし歯・歯周病を早く見つけること、歯を1本でも多く残すこと……。ここでは、本当に歯を守るために必要な予防について考えていきます。

「歯科医院で何をしたか」では測れない

PMTCやTBI、フッ化物塗布などは、「予防行為」と呼ばれています。しかし、フッ化物を塗布しても大臼歯周辺にプラークが残っていたら? PMTCをしても普段のケアが出来ていなかったら? 状態は少しずつ悪くなってしまうでしょう。

そう考えると、「歯科医院でこれをやっていれば予防できている」という明確な定義はないのではないでしょうか。

マルメ大学のダン・エリクソン先生はこう言っています。

予防歯科の達成は、何をするかではなくどうあるべきかの哲学。

「PMTC=予防」「フッ化物塗布=予防」と行為を基準にして判断するのではなく、まず「患者さんにどうあってほしいのか」を考え、そのゴールが達成できるようやるべきことを探っていくのが予防歯科の第一歩なのです。

毎日のセルフケアが歯を守る

予防歯科のゴールについて、タフトくらぶでは「患者さんが生涯健康な口腔内で過ごせること」だと考えます。むし歯や歯周病に罹らないこと。口腔内がより良い状態に向かうこと。それによって、気持ちや全身の状態にも良い変化が起こること。

こうしたゴールに向かうために、何をしたらいいでしょうか。

実はこれ、すでに研究がなされています。スウェーデンのペール・アクセルソン博士が30年にわたる長期の臨床研究を行ない、何をしたら生涯歯が守れるのか調べたのです。アクセルソン博士が導き出した、歯を守るために必要な要素がこちら!

歯を守るために必要な要素
  • 必要に応じたディブライドメント
  • リスク部位にフォーカスしたPMTC
  • 自己診断に基づいたセルフケア

なかでも、アクセルソン博士が重要視したのが「自己診断に基づいたセルフケア」です。

歯科医院でのPMTCは年に数回だけ。どんなに高度な技術でケアしても、日々プラークがたまってしまいます。毎日のセルフケアでリスク部位をケアすることが、健康な歯を守っていくうえで必要不可欠であると考えました。

30年の臨床研究では、自己診断に基づいたセルフケアをベースに、定期的なPMTCと必要に応じたディブライドメントを実施。結果、むし歯や歯周病で歯を失う人はいませんでした。

≫研究内容について詳しくは「“確実に歯は守れる”と証明したアクセルソンの研究

歯科衛生士の役割

適切なセルフケアで歯が守れるとわかっても、実践してもらうのは簡単ではありません。患者さんの中には、そもそも口腔内に興味を持っていなかったり、自分に合ったセルフケアの方法を知らない方も多いでしょう。

だからこそ、歯科衛生士の存在がとても重要!

口腔内に興味を持ってもらい、健康への意識を育み、適切なケアの方法を一緒に考えていく。これができるのは、歯科衛生士だけです。

アクセルソン博士は、こう言っています。

患者さんが長期的に健康な歯を維持していくため、メインテナンスに通う意味や正しいセルフケアの方法を教育することは、最もハイスタンダードな歯科医療。(中略)つまり患者さんにとっても歯科医院の経営においても、歯科衛生士はなくてはならない存在なのです。

精密な治療やメインテナンスももちろん大切。ですが歯を守っていくには、患者さんに「どうしてメインテナンスを受けるべきなのか」「なぜこのアイテムでケアすべきなのか」まで理解してもらうことのほうが重要であり、高度な歯科医療なのです。

アクセルソン博士の元で働いていた歯科衛生士ブリギッタ・ニーストレン女史は、上記を意識して患者さんと関わることで実際に大きな手ごたえを感じたそう。

メインテナンスに通う意味やセルフケアの必要性を理解すると、患者さんは楽しんでケアしてくれるようになります。歯が守れると知り、実際に自分の手で良い状態で維持できることに喜びを感じているのです。

では、具体的に患者さんにどう働きかけていったらいいのか? それを他の記事でご紹介していきますので、ぜひご一読ください。

おさらい
  • 「これをやったから予防できている」という明確な定義はない
  • 生涯歯を守っていくために大切なのは、自己診断に基づくセルフケア
  • セルフケアを実践してもらうために、歯科衛生士の存在が必要不可欠
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