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  • DHインタビュー

「患者さんの手で歯は守れる」自信を持って伝えています

二関春菜さん(臨床歴13年) 土田歯科医院(山形県)

かつては「流れ作業のように働いていたこともあった」という二関春菜さん。1年ほど前に“リスク部位”の考え方を知ってからは意識が大きく変わり、患者さんにも自分にもいい変化が起こせています。

早くむし歯を見つけることが歯科衛生士の仕事?

以前は、恥ずかしながら「悪くなった場所を早めに見つけること」が歯科衛生士の仕事だと思っていました。検診やリコールに来た患者さんを診るときは、拡大鏡サージテルをかけて「むし歯はないかな?」と一生懸命探すんです。歯周病についても同じ。とにかく「悪くなっている部位をいかに早く見つけるか」に全力を注いでいました。

意識が変わったのは、1年ほど前のこと。医院全体で、リスク部位に関するセミナーを受けたのがきっかけです。

「口腔内には、むし歯や歯周病になるリスクが高い部位と、そうでない部位がある」
「リスクが高い部位を優先的にケアすることで歯が守れる」

そうした話を聞いて、ハッとしたんです。悪くなっているところをいくら早く見つけても歯は守れない。大事なのは、むし歯や歯周病になる“前の段階”を見つけることなんだって。今までの私は病気ばかり探していて、見るべき場所が全然違ったんだとすごく反省しましたね。

以来患者さんを診るときは、リスク部位に注目しています。「むし歯や歯周病になりそう・・・・な部位はあるかな?」という視点で、プラークの付き方や歯肉の状態、ポケットの深さなどを総合的にチェックするようになりました。

一方的ではなく、寄り添うような関わり方に

ただ、私だけがリスク部位を把握していてもしょうがないですよね。きちんと患者さんにケアしてもらえるよう、伝え方も変えていかなければと思いました。

これまでもTBIはしてきたのですが、「ここに残っています、これで磨いてください」といった一方的なもの。なかなか行動にはつながっていなかったんです。当時は「私がきれいにしてあげればいい」と思っていましたが、リスク部位を患者さんにケアしてもらいたいと考えたらこのままではだめだな、と。

そこで、一方的にならないよう患者さんの現状に寄り添うような関わり方を意識しました。

たとえば、フロスを歯間にだけ通している患者さんと接したとき。歯肉縁下や隅角のリスクをお伝えしてから、「どうやったら汚れを落とせると思いますか?」と問いかけたり、歯を抱き込む練習をしたり。一緒に話し合いながら、少しずつできることを増やしていきました。

一方通行のコミュニケーションをやめたことで、患者さんはどんどん変わっていきました。家でのケアを頑張ってくれるようになり、リスク部位のプラークを落とせるように。「こうやればよかったんですね!」と喜んで、ますます頑張ってくれる方が増えています。

ここまで変わってくれると、歯科衛生士としてやっぱりうれしい。「次に来たときはどんなによくなっているだろう?」と、経過を診るのが楽しくなりました。

「自分で歯が守れるんですよ」と伝えられることがうれしい

むし歯や歯周病そのものではなく、なる可能性が高い部位に目を向けるようになって1年。いろんな気づきがありましたが、1番の発見は「患者さんは自分で歯を守れるんだ!」ということです。

リスク部位という考え方を理解してセルフケア方法を知った方は、みなさん家で頑張ってくれるし、きちんと口腔内の状態が改善している。そんな様子をたくさん見るうちに、心の底から「自分の手で歯が守れるんだ」と実感したんです。

だから患者さんにも伝えています。「自分で磨けるんですよ、諦めないでいいんですよ!」って。口腔内の状態がよくない方でも、まだうまくセルフケアできていない方にも言っています。時間がかかったとしても必ず守れるようになると思うから。

こういう発信ができるようになったこと自体、すごくうれしいですね。リスク部位に注目して患者さんに寄り添うような働き方に変えてから、歯科衛生士という仕事によりやりがいを感じるようになりました。

今後は、もっとセルフケアのサポートに力を入れていきたいと考えています。そのために、歯やプラークではなく患者さんのことを知りたい。「この人はどういう人なんだろう?」と興味を持って関わって、寄り添える歯科衛生士になれるよう頑張ります。

仕事をする上で大切にしていること

どんなときも「笑顔」と「あいさつ」を欠かさないことを大切にしています。

取材:杉山
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