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  • DHインタビュー

「何で磨いたらいい?」子どもたちから質問されるようになりました

高橋恵さん あい歯科・小児歯科(東京都)

一般歯科、訪問歯科、矯正歯科など、さまざまな医院で働いてきた高橋恵さん。多くの患者さんを診るなかで「子どものうちから予防することが大切だ」と実感し、小児に力を入れるようになりました。そして数年前からは、子どもたちの歯を守るために「全顎のクリーニング」をやめて、「リスク部位に特化したケア」を行なうように。その経緯や、起こった変化についてうかがいます。

全ての歯面をクリーニングすると歯を傷つける?

長い間、子どもたちの歯を全顎クリーニングしていました。それが当たり前だと思っていましたから。

でも「これ、必要なのかな?」と考えることもあったんです。歯面全てにプラークが付いているわけじゃない。キレイな部位にまでスケーラーやポリッシングブラシを当てると、歯を傷つけている気がしたんですよね。

そんなある日、たまたま受けたオーラルケアのオンデマンドセミナーで“リスク部位”の話を聞きました。

「口腔内にはむし歯と歯周病になるリスクが高い部位がある」
「歯を守るには、リスクが高い部位のケアが重要」
「リスクが低い部位をクリーニングするのは、歯面を傷つけるだけ」

今まで漠然と考えていたことをハッキリ明言されて、「やっぱりそうだよね!」と興奮しました。そしてすぐに全顎のクリーニングはやめて、リスク部位に重点を置いたケアに切り替えたんです。

リスク部位に興味を持ってもらえる声がけを

このセミナーをきっかけに、セルフケアの提案方法も変えました。家でもリスク部位をケアしてもらいたいと思ったからです。

今まではこちらから「この歯ブラシで磨いてね」と一方的に提案していたのですが、反応が薄くて。みんな買って帰ってはくれるんですが、使っているのかわからなかったんです。

そこで、まずはリスク部位に興味を持ってもらえるような声がけをしてみました。

「どこが磨けていないと思う?」
「どんなアイテムだったら汚れが落とせそう?」

すると、だんだん子どもたちの反応が変わってきたんです。こちらの話を真面目に聞いてくれるようになったり、向こうから話しかけてくれるようになったり。「ここが磨けてないと思うんだけど、何で磨いたらいい?」と質問してくれることも増えたんですよ!

子どもたちの意識が変わって、家でのケアもしっかりやるようになり、お口がいい状態に。提案の仕方を変えて、本当によかったなと思います。

歯科衛生士は患者さんと一緒に口腔内を守っていける人

リスク部位に注目するようになって、子どもたちとの関わり方を工夫して。口腔内はもちろん、関係性も変わってきたなと思います。

たとえば中学生くらいの子になると、次の予約まで期間が空いてしまうことがあるんですけど、「次に来た時も歯科衛生士さんいてね!」って私に言って帰ったりするんですよ(笑)。「私が大人になるまで診てね」とお願いされることも。そんなふうに想ってくれるんだ、って純粋にうれしいです。

こういう子どもたちの反応や健康的な口腔内を見ると、歯科衛生士っていい仕事だなと改めて実感します。この仕事を始めたころは、お掃除する人、バキュームを持って先生のアシストをする人と思っていましたけど (笑)。今は、全然違います。歯科衛生士は、患者さんと一番関われる、未来に向けて一緒に口腔内を守っていける人。素晴らしい仕事です。

これからも多くの人の歯を守っていけるように、まずは子どものうちから予防の考えを身に付けてもらいたい。そのために全力でサポートしていこうと思います。

仕事をする上で大切にしていること

患者さんが何を求めているのか知ること。先入観で口を診ないこと。むし歯がたくさんある患者さんでも、求めているのは治療ではなくホワイトニングや矯正かもしれない。適切な処置はしつつ、患者さんの想いに寄り添うことを大切にしています。

取材:服部
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