この道を選んでよかったと、心から思います
実は私、歯科衛生士になるまでに少し回り道をしているんです。栄養士の資格を取ったり、リース会社の営業をしたり、エステティシャンになろうか看護師になろうか迷ったり。最終的に選んだのは歯科衛生士ですが、今はこの道に進んでよかったと心から思っています。誰かの人生に長く寄り添えて、その方を健康に導けて、「ありがとう」と喜んでもらえる仕事はほかにないですから。
いちばん長い患者さんは、この医院に来てからなので14年のお付き合い。それぞれプライベートでもいろいろ乗り越えながら、今では体の変化や更年期の話に花が咲くこともあります。医療関連となると医療者側がなんとなく“上”になりがちですが、どちらかという対等な関係。歯に関しては私のほうが知っていることは多いけれど、患者さんのほうが人生の先輩だったりするので、定期的にお会いしては情報交換をしている感じです。
もちろん若い頃は、自分が一方的に喋って患者さんはうなずいているだけ……みたいなこともありましたよ。当時は患者さんとの距離を縮めたいと思ってもどこまで立ち入っていいのかわからなかったし、結局歯のことしか見ていなかったんですよね。ある程度の経験を積んで、「患者さんの健康を守りたい」「患者さんのことをもっと知りたい」と思えるようになって。一緒に笑い合える時間が増えてきたように思います。
“ミクロの視点”と“マクロの視点”を持つ
最近大事にしているのは、患者さんと接するときにミクロとマクロの視点を持つことです。口の中というミクロの世界だけでなくて、その方のバックグラウンドも含めた全体のマクロの世界も見るようにしています。
たとえばいつもはきれいなのに、突然ケアが疎かになってしまった方がいらしたとしますよね。ミクロの視点だけで見ると「磨けていない」で終わってしまいますが、マクロの視点になって患者さん自身に目を向けると、親御さんの介護をしているとか、自分の体調が悪いとか、転職活動でストレスが溜まっているとか。お口の中に変化が現れた理由が見えてきたりするんです。
歯磨きって、一生続けなければならないもの。でも、どうしてもがんばれない時期って人生で必ずあります。そんな時にあれこれケアについて提案されても、聞く耳なんて持てないじゃないですか。そもそも通ってきてくれているならお口の健康を守りたいという意思があるわけですから、こちらでちゃんとケアをして、環境が整ってまた磨けるようになったら一緒にがんばればいい。長い目で患者さんを見守っていくためには、現状に一喜一憂するんじゃなくて、「今じゃない」と引き下がることも時には必要なんです。それこそ歳を重ねて、気持ちに余裕が持てるようになったからこそ、できるようになったことかもしれません。
経験も知識も常にアップデートし続けたい!
患者さんとのお付き合いが長くなっていくと、これまでになかったような悩みも出てきます。根面カリエスや免疫力低下による体の変化、唾液の減少。今までのやり方では解決できない問題もたくさんあると思うんです。
それに、私が歯科衛生士の資格をとった二十数年前から比べると、歯科の情報もかなり様変わりしてきましたよね。インプラントについてもちゃんと学んでこなかった世代ですし、アシストの仕方や保険改訂、口腔機能低下症など、新しい歯科衛生士さんと話していると、情報のギャップがあるのを感じます。常に勉強して、アップデートしていかなきゃいけない。そう日々実感するんですよね。
「歯科衛生士をいつまで続けられるんだろう」
そう思っている若い方、たくさんいると思います。私も子育てが忙しかった頃は、仕事に対するアクセルが正直緩みました。でも、子どもに手が掛からなくなって、少しずつ歳を重ねて、また勉強したり現場で活躍できる第二の歯科衛生士人生はすごく楽しい! 健康寿命を延ばすための実指導を国から期待される時代にもなりましたし、「まだまだできるよ」「また新しい充実した時間が待っているよ」っていうのを、どんどん示していきたいですね。
朝5:30に起きて10分くらい、YouTubeを観ながらヨガを行なっています。スッキリするし、自分時間としてリフレッシュできる! 今後の目標は“ダウンドッグ”というポーズできれいな逆Vができるように極めることです。