患者さんを家族みたいに感じるように
医院の歯科衛生士がみんな“患者さんのため”を考えて働かれているので、すごく影響を受けました。
まさか自分が、こんなに楽しく歯科衛生士を続けることになるとは思いもしませんでした。仕事を始めた当初は“お金のため”という感覚も正直ありましたし、「手に職を持ったほうがいいかな」とか「母の夢を叶えてあげるか」くらいの気持ちだったので……。それこそ「患者さんのために」とかは、まったくと言っていいほど考えていませんでした。心境に変化が現れ出したのは、歯科衛生士の仕事を続けて1〜2年が経った頃。継続的に通ってくださる患者さんとの関係性が深まるにつれ、自分の家族みたいに感じられるようになってきたんです。
たとえば最初はなんとなく通い始めた患者さんでも、コミュニケーションをとって仲良くなっていくと、お互いに思い入れが出てくるんですよね。そうすると患者さんもこちらの提案を受け入れてくれるようになって、こちらも「もっとこの方の力になりたい」という気持ちがどんどん芽生えて。患者さんとの距離が近づいたり、変化が見られたりするのが楽しくなるうちに、「実は歯科衛生士ってすごくやりがいのある仕事なのでは⁉︎」と感じるようになったんです。
「ほめてもらいたくて」と、うれしい言葉が!
たとえば月1で通ってくださっているある男性患者さんは、毎回歯肉が腫れているし、プラークもたっぷり。最初の数ヶ月は「ご自宅でもう少しセルフケアを頑張れますか?」とうかがっても、「時間がなくてなかなか歯ブラシできん」という感じでした。
ところが通い始めて半年くらいが経ったある日、口腔内が見違えるほどきれいになっていたんです。あまりに驚いて「めっちゃきれいじゃないですか! どうしたんですか?」と聞いたら、「弓場さんにずっと言われてたし、そろそろほめてもらわなと思って。ワンタフトブラシを頑張ったよ」って。もう、すごいうれしいじゃないですか。
そもそも歯医者さんって、行くのが嫌な人のほうが多いと思うんです。治療で怖い思いをしたこともあるだろうし、わざわざ痛い思いをしに「誰が喜んで行くんだ?」って話で。でも、「歯医者さんへ行くと口の中がスッキリ気持ちよくなる」とか、「歯科衛生士とのおしゃべりが楽しみ」とか。そういう理由でもとりあえず来てもらえれば痛い思いを極力避けることはできるし、お口の健康は守られます。その、患者さんに楽しんで通ってもらえる環境をつくることこそ、まさに歯科衛生士の仕事なんだなと改めて実感しますよね。
“会話すること”を大切にしています
メインテナンスに通うことを楽しんでもらうために、限られた時間のなかでいかに患者さんに喜んでもらうか、いかに「また弓場さんに会いたい!」と思ってもらうか。今は、そのために自分の全力を出すようにしています。
一つ具体的に工夫をしているとしたら、ちゃんと“会話すること”。私がバァーッとしゃべるのではなく、患者さんにもしゃべってもらう機会を必ずつくっていますね。「何か気になることありますか?」とか「フロス使えていますか?」ってひと言ふた言お聞きするだけで、意外と怖そうな方でも答えてくれるもの。「実は僕、歯ブラシ3本使い分けててね」って話題が広がったりします。
仕事をしながら「大変だなぁ」「しんどいなぁ」と思うことはたくさんありますが、辞めたいと思ったことは一度もないです。予定が忙しいなかでもわざわざ時間をつくって通ってくれる方もいらっしゃるし、「弓場さんに会いに来たよ」って言ってもらえるのが本当にうれしくて!
結婚しても、子どもができても、職場が変わっても、この仕事は続けていくつもりです。将来は認定歯科衛生士になることも目指しているので、勉強と成長を繰り返しながら、一生の仕事にしていきたいですね。
ワンちゃんを飼っているので、昼休みにいったん帰宅してワーッて触れ合うのが癒しの時間です。