編集部員レポート/編集部員H
前回、歯科最高峰の国際学会である「国際歯科研究学会(IADR)」の様子をレポートしてくれた株式会社サンギの研究員 宮坂亮介さん。今回は、会場で行なったポスター発表の詳細について語っていただきました。テーマは、ハイドロキシアパタイト配合の知覚過敏抑制材料『アパシールド』。試験によって、いったいどんな臨床的有効性が明らかになったのか――? ぜひご一読ください。
ハイドロキシアパタイト配合『アパシールド』の知覚過敏抑制効果を発表
私がポスター発表で取り上げたのは、ハイドロキシアパタイトを配合した知覚過敏抑制材料『アパシールド』。これは露出した象牙細管をハイドロキシアパタイトで封鎖し、刺激の伝達をブロックすることで知覚過敏を抑制する管理医療機器です。その有効性を確かめるために2つの試験を行ない、それぞれの結果を報告しました。
① 象牙細管の封鎖性試験※
<試験内容>
1.ヒトの抜去歯の歯根部を研磨、エッチングして象牙細管を開口させたものを用意
2.1000回転のラバーカップで、アパシールドを30秒間こすり塗り
3.アパシールド処理前後の象牙細管の面積から、封鎖率を算出
※試験方法により封鎖率は異なります
結果、象牙細管の約90%がハイドロキシアパタイトで封鎖され、痛みの伝達をブロックできる可能性があるとわかりました。
続いて温水と冷水に繰り返し浸漬させるサーマルサイクル試験を実施。サーマルサイクルを500回行なった後でも約83%という高い封鎖率をキープする結果が得られ、痛みの抑制を持続できる可能性があることも明らかになったのです。
② 臨床試験
<試験内容>
・知覚過敏を発症している患者さんに冷水とエアー、それぞれの刺激を与え、0から10までの11段階で痛みを評価してもらう
・評価タイミングはアパシールド治療前、治療直後、治療してから1週間後の計3回
・治療はエアーでの刺激に対して、痛みがなくなるまで最大3回繰り返し実施
この試験結果では、治療直後・治療1週間後のどちらにおいても刺激に対して統計学的に有意に痛みが抑制され、臨床的有効性があると示唆されました。
また、繰り返しの塗布で痛みが抑制される傾向があることも判明。おそらくこの処置によってハイドロキシアパタイトが象牙細管の奥まで入り込み、封鎖率が上がったためではないかと考えています。
1週間後、若干痛みが後戻りするケースも見られました。これは口腔内環境によってハイドロキシアパタイトが脱離もしくは溶解しただけでなく、知覚過敏の根本原因が改善されていなかったことが関与している可能性もあります。
象牙細管の封鎖による効果は即効性がありますが、あくまで症状を和らげる一時的な対処にすぎません。本当の改善を目指すには、原因にアプローチすることが重要です。たとえばオーバーブラッシングが原因であれば磨き方や歯ブラシを変えたり、歯ぎしり・食いしばりであればマウスピースを活用したり。臨床ではアパシールドや知覚過敏用歯みがき剤『アパシールド ホームケア』を活用しつつ、生活習慣やセルフケアを見直してもらえたらと思います。
次回はポスター発表を行なったときの様子や、聞いた人の反応をお届けします。どうぞ更新を楽しみにお待ちください。
出典:Miyasaka R, Miyazaki C, Kawamata H. Anti-Hypersensitivity Effect of a Desensitizing Paste Containing Hydroxyapatite. J Dent Res 104 (Spec Iss B):0351, 2025.
Abstract available at: https://iadr.abstractarchives.com