困ったとき、セルフケアの習慣が支えに
もともと、セルフケアの大切さについて患者さんにしっかりお話するようにしていました。
自分はあまり体が強くなくて、よく倒れたり入院したりしたのですが、そういうときセルフケアの習慣にすごく助けられたんですね。入院して満足に歯磨きできない期間があっても、これまでしっかりお手入れできていたら悪くなるのを食い止められる。歯に関する知識があれば、そのときの体調に合ったアイテムを選ぶことができる。こうした自分の経験をふまえて、正しい知識や技術があること、いろんなアイテムを知っていること、セルフケアが習慣になっていることがすごく大切だと感じているんです。
今元気な患者さんも、これからの人生何が起こるかわかりません。病気で寝込んだり入院したりしたとき、口腔内をなるべくいい状態で維持できるように。元気なうちから歯を守る習慣をつくれたら、と考えています。
フロスのよさを患者さんにも知ってもらいたい!
その一環として、患者さんに紹介してきたのがフロスです。清掃率が高くていいアイテム。ただ、そのよさを知ってもらうのが難しいとも思っていました。まだまだ認知度が低いし、使うのに技術がいる。限られたTBIの時間で必要性を話すのが難しくて。「この方は歯間ブラシを使ってくれているからよしとしよう」と妥協したりしていました。
意識が変わったのは、数ヶ月前のこと。タフトくらぶで開催されたフロスに関するオンラインセミナーを受けたのがきっかけでした。改めて勉強してみようかなと気軽に参加したのですが、本当に受けてよかった! どうしてフロスを使う必要があるのか、しっかり理解できたんです。
歯肉縁下に歯周病の原因となる細菌が潜んでいること。
日本人の歯は丸い形をしていて、歯ブラシの毛先が当たりにくいこと。
歯肉縁下をケアしたり丸い歯に沿わせるには、指巻きフロスがピッタリなこと。
全部の話が心に響きました。なんでこれまで積極的に説明してこなかったんだろう。フロスのよさを患者さんにも知ってもらいたい! 諦めずに伝えよう、と強く思った瞬間でした。
それから、メインテナンスでは必ずフロスの話をするようにしています。染め出しをして、その場で一緒に練習。「中指に巻いて……」というところから、細かくお伝えしています。
できそうなタイミングで、少しずつ習慣にしてもらえたら
以前、仕事と育児で忙しくされている女性患者さんに提案したことがあります。普段の生活についてうかがうと、「たしかに、そんな多忙ななか毎晩フロスをするのは難しい」と感じる方でした。
そこで「いつならお時間ありますか?」とヒアリング。「昼休みなら、ちょっと時間がとれるかもしれません」ということだったので、まずはお昼に挑戦してもらうことになりました。
フロスはどんな方にとっても必要なアイテムだと思うので、生活に取り入れてもらえると本当にうれしい。この習慣が、いつか患者さんの健康を支える手助けになると信じています。
セミナーでもらった元気を、患者さんに還元しています
タフトくらぶのセミナーを受けてから、TBIの知識が広がり、フロス提案も自信を持ってできるようになりました。
これまでもセミナーを受けたり歯科英語を習ったりと、臨床現場で役に立つことを学んできたのですが、最近はますます勉強が楽しくなってキシリトールなどフロス以外のセミナーも受講しています。
新しく知識が得られるのはもちろん、すでに知っていることでも改めて学ぶことで「私のやっていることは間違っていないんだ」って自信が持てるんですよね。セミナーで講師の方に背中を押してもらい、“もっと頑張ろう”と活力をもらって、それを患者さんに還元する。いいサイクルができています。
これからも学び続けて、患者さんの人生をサポートしていきたい。患者さんの健口を守るお手伝いができるように、全力で頑張ります!
想像力と感謝と敬意を持って患者さんに接すること。普段の生活についてヒアリングし、無理のない提案をするように心がけています。