アルビーさん
国籍インドネシア 在日歴16年

アルビーさんのオーラルケア

インドネシアの高校を卒業して半年後、留学生として来日したアルビーさん。現在は、日本人の奥様のご実家で“マスオさん”をしています。日本での学生生活が長かったため、好きな食べ物は『吉野家』の牛丼!

普段、どんなケアをしていますか?

基本的には歯ブラシだけです。歯のあいだに詰まっているときは、フロスや歯間ブラシを使うこともありますね。あとは年1~2回くらい、メンテナンスのために歯医者にも行っています。

日本人のケアの仕方で 驚いたことはありますか?

最初ビックリしたのは、「何で日本人は歯磨きをするのにこんなに時間がかかるのか!」ということ。私はあまり時間をかけたくないので、歯ブラシで1分くらい磨いてササッと終わらせます。テレビを見ながら10分なんて、考えられない(笑)。  あと、日本の歯ブラシは小さいですね。もう少し大きくて硬いものをイメージしていたので、カルチャーショックを覚えました。

インドネシアでは どんなオーラルケアが主流なんですか?

私と同じように歯ブラシで磨くのが普通ですが、都市部と田舎では差が激しいです。民族によってはサトウキビをかじったり、「シリー」と呼ばれる葉や石灰を混ぜてガムのように噛む文化が今でも残っています。噛んでいるうちに口の中が真っ赤になるんですが、それがオシャレの一部になっているみたい。日本でいう、昔のお歯黒だね(笑)。  ただ、この葉っぱには止血作用もあるし、石灰には歯を強くする効果もあるのでちゃんと意味はあるみたいです。

インドネシアの子どもたちは、どんな 歯科教育を受けているのでしょうか。

私たちの親世代から、大手メーカーが歯磨き粉などの商品を持って学校に来てくれました。CSR活動(企業が社会的責任として地域に貢献すること)の一環ですね。  あとは、〝救急隊〟というクラブの生徒が中心になって、全校生徒を対象にむし歯予防のための講習会も開かれていました。歯医者を知らない人もいるので、保健所が「予防のために行きましょう」と教えてくれるんです。

とてもきれいな歯をしていますが、 かなり気づかっているのですか?

仕事で人前で話すことも多いので、気はつかってます。それと、実は実家が歯医者なんです。今は妹が継いでいますが、母は私の住む地域で初めての歯医者でした。子どもの頃は「お前の家は歯がたくさんあって気味が悪い」とバカにされてコンプレックスでしたけど……。今は、「何不自由ないこの歯は、母が残してくれた大事な形見」と思っています。


妹さんが営む歯科医院の様子。地域によっては今も黒魔術や白魔術が信じられていて、「私は魔術師だから大丈夫」と患者さんを安心させることもあるそう。


(tuft club 127号掲載)