ダス・サラバヌさん
国籍バングラデシュ 在日歴24年

ダスさんのオーラルケア

バングラデシュのチッタゴン地方で生まれ育ったダスさん。18歳のとき、留学をきっかけに日本にやってきました。その後、大学院で博士課程を取得し、そのまま日本で働き始めて13年。エンジニアとして活躍中です。ダッカ出身の奥さん、日本で生まれた息子さん(中学2年)、娘さん(小学4年)と暮らしています。

歯医者さんには、これまでどんな通い方をしてきましたか?

今まで、むし歯になったことが1回もないんですよ。もともと口の中の菌が少ないんだと思います。日本に来て2回だけ、親不知を抜きに行きました。バングラデシュにも歯医者さんはたくさんありますけど、行ったことはないですね。歯科医師はいても、〝歯科衛生士〟という職業、概念はないと思う。歯磨きの仕方は、子どもの頃に親から教わります。歯医者さんは、病院と同じで痛くなったり、何か問題が起きたときに行く場所。オーラルケアのために歯医者さんに行く、というトレンドはないかな。

親にはどんなことを教わりましたか?

「奥歯はちゃんとやりなさいね!」って言われていました。よく母親が、「むし歯は出産の次に痛いんだから! 絶対になったらダメだよ」って。自分は歯の病気になったことはないですけど、大人になって親不知を抜いたときはつらかったです。こんな痛みは二度と味わいたくないと思いました。

そういえば子どもの頃、ペースト状ではなく、ミントの味がする粉状の歯磨き粉を使っていた記憶があります。おじいちゃんおばちゃんたちは、ニームという木の枝で歯をお掃除していましたね。別名インドセンダンと言ってハーブの一種。抗菌作用があるので、歯周病予防にも効果があったんじゃないかと思います。

今は、どんなケアをしていますか?

朝と夜の2回、普通の歯ブラシと歯磨き粉で磨いています。フロスはバングラデシュにもあって、存在は知っていますけどたまにしかやったことがないですね。特に歯のケアを熱心にやっているわけではないのですが、子どもたちも学校の歯科検診でひっかかったことはないです。

ダスさんにとって、健康な歯はなぜ必要ですか?

おー、そんな質問されたことないですね……。それはやっぱり、歯が健康だと何でもおいしく食べられるからじゃないですか! バングラデシュには両親と兄がいるので、1~2年に1回は帰ります。向こうで食事といえばカレー、カレー、カレーですね。日本と違ってサラサラしていて、豆、魚、野菜と種類が豊富なので飽きないですよ。どの家庭にも4~5種類のスパイスが常備されています。今となっては日本に住んでいる期間のほうが長いので、すっかり日本食には慣れました。お寿司も納豆も大好きですよ。今日もお昼にオクラの納豆和えをごはんにかけて食べました。


ダスさんのお気に入りは、息子さんが10歳のときに描いたバングラデシュの地図。歴史的な建物や観光地、文化、国の鳥や動物(ベンガル虎)がまとめられています。


(tuft club 147号掲載)