キシリトールはどうして“歯にいい”の?

白樺や樫の木などの原料から作られる天然の甘味料・キシリトール。「歯にいい」とされる素材ですが、具体的にどんな効果があるのか、おさらいしていきましょう。

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1.ミュータンス菌に消化されない

キシリトールの大きな特徴は、“ミュータンス菌に直接働きかける”ことにあります。
通常、ミュータンス菌は糖分を食べて栄養分を吸収し、その過程で出た不要物(不溶性グルカンや酸)を排出します。しかし、キシリトールは別!ミュータンス菌は、糖分と分子構造が似ているキシリトールを喜んで摂取。しかし、栄養分として消化・吸収することができないのです。
結果、不溶性グルカンや酸がつくられず、歯にとって良い変化をもたらします。

2.バイオフィルム自体が減る

キシリトールが栄養分として消化されないと、不溶性グルカンは排出されません。つまり細菌が集まるための足掛かりがなくなり、バイオフィルムがつくられにくくなるのです。
こちらのグラフをご覧ください。

これは、ショ糖とキシリトールを4日間食べたときのプラーク量を測ったもの。キシリトールのほうは、プラークの量がなんとショ糖の半分以下!不溶性グルカンがつくられず、バイオフィルム自体も少なくなっているのがわかります。

3.歯を溶かさない

ミュータンス菌はキシリトールを吸収できないので、もちろん酸も排出されなくなります。どのくらい出ないのかというと、まったくの0!

お口の酸性度を見てみても、ずっと中性を維持しています。酸が出なければ、歯は溶けない。カリエスが進行するリスクもグンと減るのです。

4.むし歯ができにくい環境へ

キシリトールを摂っても、栄養分に変えられないミュータンス菌。人間であれば「もう食べるのはやめよう」となりますが、ミュータンス菌は何度でもキシリトールを摂りこみます。消化にエネルギーを使うものの栄養分にはできないので、どんどん弱りやがて活動できなくなります。

弱ったミュータンス菌は歯ブラシで簡単に落とせるため口腔内からいなくなります。数ヶ月キシリトールを摂り続けると、口腔内が「むし歯のできやすい環境」から「できにくい環境」に変わることがわかっています。

5.キシリトール製品の選び方

キシリトールは1日の合計量として5~10g摂るとむし歯予防に効果的だとわかっています。製品によって濃度はさまざまですが、濃度が高ければ高いほど効率的に摂取できます。

1番は、もちろん甘味料の100%がキシリトールのもの。最低でも50%は必要です。濃度が表示されていない場合は、栄養成分を確認し「炭水化物とキシリトールの分量が限りなく近いもの」を選びましょう。(濃度の計算式:キシリトール÷炭水化物×100)

キシリトール以外の甘味料が含まれる場合は、むし歯の原因となる糖類はゼロのものを選びます。酸をつくりにくいソルビトール、マルチトール、マンニトールなら安心です。

6.キシリトールの効果的な摂り方

効果的な分量の目安は、粉末の場合1日に5~10g。キシリトール100%入りのガムだと3~10個にあたります。3ヶ月以上食べるとむし歯予防に効果的です。

キシリトールを摂るタイミングは、いつでもどこでもOK! 好きな時に摂れるのが大きなメリットです。一度にたくさん摂るよりも、「少量を回数多く」が効果的。フィンランド・ユリビエスカ保健所の研究では、1日10gを2年間食べ続けると、食べるのをやめてもその効果が4年続くという結果もでています。

7.キシリトールの安全性

キシリトールはJECFA(食品添加物の安全性に関する国際会議)で、「1日の摂取許容量は特定せず」と発表されています。つまり、どれだけ食べても安全だということ!これはJEFCAの評価基準の中でもっとも安全なカテゴリーに含まれています。

また、キシリトールはかつて糖尿業患者などに使われる点滴として活躍していました。1997年には、厚生省(現在の厚生労働省)から「食品添加物」として認可。安全性は保障済みです。

おさらい

  • ミュータンス菌はキシリトールを消化できない
  • 不溶性グルカンがつくられない⇒バイオフィルムがつくられにくくなる
  • 酸が出ない⇒歯が溶けない
  • プラークの性状が変わる⇒歯磨きで落としやすくなる
参考文献

カウコ・K・マキネン『知っておきたいキシリトール 科学的根拠と効果的使用法』 発行元オーラルケア