セルフケアを提案するとき、患者さんに最適なものは何か。一生懸命考えますよね。
そのときに注意したいのは、「これがおすすめですよ」といった情報提供で終わらないようにすること。そして患者さん自身が自分の課題に気づき、対策を考え、何が必要なのかを理解してもらうことが大切です。継続的なセルフケアには患者さんの主体性が欠かせません。
誰に | どなたでも |
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いつ | 初診、メインテナンス時 |
アイテム | なし |
口腔内の状態は一人ひとり異なります。歯科衛生士は患者さんの口腔内や心身の状態、ライフスタイルなどを踏まえて、最適なセルフケアの提案を心掛けなければなりません。
同時に、必要となるのが継続に向けたサポートです。どうやったら患者さんの暮らしの中で、セルフケアを新しい習慣として取り入れられるか。一緒に考え、患者さん自身で取り組み方を決めるところまで寄り添いましょう。
セルフケアを提案し、継続できる形を探る対話例
(染め出しの結果を見ながら)何か気づいたことはありますか?
……歯の根元の部分がたくさん染まってます。こんなに磨き残しがあったんだ……。
歯と歯ぐきの境目(歯頸部)ですね。どうやったら磨き残しを少なくしていけると思います?
う~ん、もっとしっかり歯ブラシを当てたらいいんでしょうか?
歯ブラシで強く磨くと歯の表面を傷つけてしまい、そこに細菌がくっついてむし歯のリスクが高まってしまうんです。狭い部位も無理なく磨ける歯ブラシがあるのですが、ご紹介してもいいですか?(了解を得て、ワンタフトブラシを紹介)
その歯ブラシは毎回使わなきゃダメですか?
どうしてそう思ったんでしょう?
朝は時間がないので、ワンタフトブラシで磨いてから3列ブラシでっていうのはちょっと難しそうだなと思って。
確かに朝はバタバタしますよね。では、できそうなタイミングはありますか?
夜はのんびり過ごしているので、時間はあります。
夜は余裕があるんですね。どうでしょう、やってみますか?
そうですね。夜の歯磨きはその2本を使ってみます。
患者さんの予防の意識は、コミュニケーションを通じて培われていく。そのことを忘れないようにしましょう。「きっとこれがピッタリのはず!」と教えたくなる気持ちをグッとこらえて、患者さんの歩みをサポートしてください。
継続的なセルフケアをサポートする関わりができると……
- 患者さんが自分のリスク部位に気づける
- セルフケアに取り組むタイミングを患者さん自身が決めることで、習慣化につながりやすくなる