「患者さんのセルフケアがなかなか続かない」「取り組んでもらうのが難しい」。多くの歯科衛生士がこの悩みにたびたび直面しているかと思います。
そこでまず試したいのが、患者さんに“今の自分自身”を知ってもらうこと。実はこれがセルフケア意識を高めていくうえで、欠かせないステップなのです。
誰に | どなたでも |
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いつ | 初診、メインテナンス時 |
アイテム | なし |
患者さんが自分で口腔内をケアするには、まず現状を知らなければなりません。口腔内の状態はもちろん、ライフスタイルやセルフケアに対する考え方、健康そのものに対する意識なども重要です。特に健康観については、問いかけられて初めて自分の考えを認識する患者さんが多くいるはず。この“気づき”が非常に大切です。
気づきを引き出す対話例
(むし歯の治療が終わった患者さんに対して)むし歯の治療が全部終わって、今のお口の状態を1~10の段階で表すとどれくらいだと思いますか?
ひとまず全部治していただけたので、6ぐらいですかね。
どうして6ぐらいだと思ったのでしょう?
う~ん……、「またいつかむし歯になるのでは」って不安が今でもあるので。昔からむし歯になりやすくて、再発する可能性があると考えたらそれくらいかなと。
再発の不安が今でもあるのですね。今、むし歯になりやすいとおっしゃいましたが、「どうして繰り返すのだろう?」って考えたことはありますか?
いえ、それほどちゃんと考えたことはないですね。歯磨きをちゃんと朝晩やっているのになっちゃうから、そういう体質なのかなって勝手に想像していました。
患者さんの健康観や大切にしている価値観を明らかにするこのステップ。途中、考え込んでしまう人もいるかもしれません。しかしそれも大切な時間なので、焦らず答えを待ちましょう。患者さん自身で自分の現状を把握することが、セルフケアを習慣化するための土台作りに必須なのです。
患者さんに“今の自分自身”を知ってもらうと……
- 患者さんが自分の口の中の状態(過去、現在、抱えているリスクなど)をはっきり認識するようになる
- 健康に対する思いや考えなどが患者さんの中で明確になり、目指すゴールを描きやすくなる